6月、名古屋市で行われたアジア大会のメダルお披露目会。キラキラと輝くメダルは目をひく美しいデザインに思わず手を伸ばしたくなりますが、知事でも市長でも触れられないほど。その管理は超厳重です。
特別に許可をもらい、アジア大会のメダルの製作の現場に潜入しました。

メダルの秘密を探るため、やってきたのは大阪にある造幣局。
重たい扉で締め切られた部屋には、薄い発泡スチロールの箱が積み上げられています。箱の中には、アジア大会のメダルが。
この部屋があるのは大阪の造幣局の中。アジア大会とアジアパラ大会のメダル、約7000個は全てここで作られています。

造幣局装金課仕上係 小野林翔平 作業主任:
「こちらでメダルの作業をしています」
この日作っていたのは銀メダル。重さ約260グラム、純銀で出来ています。

すでにデザインが施され、完成品のように見えますが…。
造幣局装金課仕上係 小野林 作業主任:
「これを今から表面荒らして色をつけて、さらにそれを手剥がしで仕上げていく作業をやっていきます」
メダルを入れたのは水と砂を吹きつける機械。表面に小さな傷を作っていくといいます。


次に向かったのは大きな鍋の前。湯気が上がる薬品の中になんとメダルをドボンと投入。数十秒ほどして引き揚げると、真っ黒に。銀色に輝いていたメダルが変色してしまいました。


銀メダルなのに真っ黒にしてしまったのには理由が。
スポンジでメダルを磨き始めると、こすった部分の色がはがれ、再び銀色が見えてきました。
造幣局装金課仕上係 小野林 作業主任:
「部分的にとっていって、文字の周りとかマークの周りは、あえてとれないくらいにしておいて、陰影・立体感を出していく」

ただこのデザインはつるつるの部分と目が粗い部分では磨き方を変えなければならず、非常に繊細な作業が必要。なぜこのデザインになったのでしょうか。
それを知るのはこちらの男性。メダルデザインの生みの親、デザイナーの志波大輔さんです。
志波さんは、ある特殊な方法でこのデザインを生み出したといいます。
使ったのは実際のメダルとほぼ同じ大きさのセラミックの板。

実際に見せてもらうと、なんと、振りかぶって床にぺちんとたたきつけました。拾い上げてみると、亀裂が入っています。
デザイナー 志波大輔さん:
「床に落下させて割るとか、何か硬いハンマーなどでたたいて割るとか、いくつかの割り方を検証して、その中で心地の良いものを探しました」

こちらが採用された割れ目と実際のメダル。自然に生まれた線が独特の存在感を放っています。
この方法を選んだ理由は大会スローガン「ここで、ひとつに。」という言葉。
デザイナー 志波さん:
「(アジア)大陸も一つだったものが分かれていったわけですけども、一つだったものが様々な言語とか文化でちりぢりになって今生活している。大会スローガン『ここで、ひとつに。』というのはそういった背景を『もう一度スポーツを通じて一つにしていこう』と、そういうメッセージだったのかなと捉えました」
かけらが集まった様子に託されたメッセージ。

メダルが持ち主の手に渡るまであと、約2か月。
造幣局装金課仕上係 小野林 作業主任:
「やっと選手に持ってもらえる日が近づいてきているので、わくわくしています」
メダル授与式がさぞ楽しみかと思いきや…。
造幣局装金課仕上係 小野林 作業主任:
「僕が一番気になるのは傷ついているかどうかっていう。2個かけたりするとぶつかり合うので。(記者:選手よりもいったん…?)メダルを(見ちゃう)。大事なんで。手袋をして持ってほしいですね」


