低迷が続く中日ドラゴンズの新監督として、名古屋出身の工藤公康さんが10月15日に就任会見を開きました。
「優勝請負人」として知られる工藤新監督が会見で繰り返し強調したのは、「ホークス時代の失敗から学んだ」という“対話重視”の姿勢でした。
冒頭あいさつ
「私は名古屋出身の人間でもありますので、こうやって自分のふるさとに帰って、監督という素晴らしい責任あることを命じられたことに関しては、非常に僕自身も強く自分の心の中で思うところもありますし、そして自分のことを認めていただいた球団のみなさんにも深く感謝したいと思っております」
「名古屋のファンのみなさんに喜んでもらえるような野球をすること、そして1勝でも多く勝つことによって喜んでいただけるようなチームを作ることが一番の目標です」
「最終的な目標は、もちろん勝って優勝するということが大きな自分の課題になると思いますが、そのためにやらなければいけないことを1つ1つ、しっかりと球団ともお話させていただき、私のことも理解していただき、そして同じ方向を常に向いて歩んでいけたらと思いますので、みなさまと共に強いチームを作れるように精一杯頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします」

Q.オファーを受け、就任を決めるに至った決め手は?
「私も名古屋出身の人間で子どもの頃から野球をして、ドラゴンズという球団ももちろん知っていましたし、パ・リーグやセ・リーグにいましたけど、やっぱりドラゴンズというチームを見て「地元」ということを考えたときに、いろいろ思うところはありました」
「そういう中で自分自身が名古屋の人たちのことも、話を聞いたりすると、みんなすごくドラゴンズのことを思っている方たちが多いというところもありましたので、私自身も自分のできることがあればと、名古屋の人に少しでも恩返しがしたいという気持ちを持って、ドラゴンズさんからの要請を引き受けたということです」
Q.選手としての在籍経験がない球団の監督を務める葛藤は?
「葛藤はないんですけど、なかなか個人で話す選手はいないというのはあります。これからは選手自身を知ることが一番大事だと思っていますので、近くにいたからわかるということではないと思います」
「自分から動いてしっかり知ることによって、選手のやりたいことであったりなりたい自分というのも少しずつ見えてくるとは思うので、その辺はしっかりコミュニケーションを取っていきながら、それをどうやってコーチや選手のパフォーマンスであったり、能力の向上につなげていけるかということが僕はカギだと思っているので、そこはしっかりみんなで進めていければ、選手のことはすぐ理解できるんじゃないかと思います」
Q.球団からかけられた印象的な言葉は?
「加藤社長の方から『これから100年に向けて』というお言葉もいただいて、本当に強いチームを作っていきたいんだなという思いは僕の方にも伝わってきました」
「ただ、大事なことはプロの世界は1年1年が勝負の世界だというところも十分自分自身でもわかっているので、今自分ができることをしっかりやって、その結果がどうだったかと。プレッシャーがないとつまらないのでプレッシャーというのは自分の中で受け止めて、しっかり選手に反映していけたらなと考えています」
Q.社長からは「すぐにでも優勝してほしい」という言葉も
「『すぐにでも』となれば、それをいかに自分の中でクリアしていくかということが何より大事だと思っています」
「『できない』とか『無理だよ』というところから始めるのではなくて、『それをするために何をしたらいいのか』を考えるのが監督の仕事だと思っていますので、そこは真摯(しんし)に受け止めてしっかり頑張りたいと思います」
Q.ドラゴンズの印象は
「名古屋出身ですけど、熱狂的なファンの方が非常に多いなっていうのが印象的ですね」
「今年の観客動員数を見ても、やっぱりドラゴンズが勝ってほしい、強くなってほしいという思いを込めて球場に来ていただいているファンの方たちが非常に多いと思います」
「名古屋・愛知に限らず周りの県にもドラゴンズのファンの方はいらっしゃいますし、全国にもドラゴンズのファンの方がいらっしゃるので、そういう方に少しでも報いるように、1日1日自分のすべきことをやっていければと思っています」
Q. どこから手を付けるか、イメージなどは
「監督が変えるというのは、意識を変えるということがひょっとしたらできるのかもしれません。でも、監督が野球やるわけでもないですし、コーチが野球やるわけでもないです」
「野球をやるのはあくまでも選手たちが野球をやるので、選手たちの意識を変えていくということが、何よりも大事なことではないかなと、自分自身は思っています」
「別に自分のことを優秀だと思ってるわけでもないですし、僕なら勝てるって断言できるかっていったら、それは自分が死力を尽くします、としか言えないところはありますけれど、大事なのは選手としっかりコミュニケーションを取ったり、スタッフとコミュニケーションを取ったり、何が最善かというのをコーチ陣と話し合ったり、いろんな部分がミックスされて、その上でいい色を出せればいいかなというふうには思っています」
「僕だけがやるわけじゃないので、僕は言葉を発してみんなに、時には練習も厳しくなると周りの人が言ってるみたいですけど、それはあくまでも選手にとって必要な練習だと自分自身で判断をしたり、コーチと一緒に判断をしたりというところだと思っています」
「そのやることに関しても、社長を含めた球団の方、みなさんに、こんなふうにやっていきたいということもちゃんとお話をさせていただきながら進めていきたいというふうに思ってますので、独断専行みたいなことをするつもりは一切ないです」
「大事なのは、選手にしても球団の方にしてもそうですけど、しっかりしたコミュニケーションを取っていくことが何より大事だと思っていますので、そこは自分の中でしっかり守りながら、選手に理解も求めながら、やっていければ一番いいんじゃないかなと思っています」
Q.監督を務める上でのポリシーは
「ポリシーというのであれば、コミュニケーションを持って選手と話をして、選手がどうなりたいか、どんな選手になって、どんな活躍がしたいか、そのために何をしなきゃいけないかというのを考えるのが僕らの仕事だと思っています」
「強制的に『あれやれこれやれ』ということは、今の時代においてもそうだと思うんですけど、監督の仕事ではないと思っていますので、決して強制するつもりはないんですけど、足りないものは、しっかりと身につけてもらわなくてはいけないというところは、確実にあります」
「プロの世界なので、結果として出てしまう、出たらそこをしっかりと自分たちで自覚すると、何が足りないのか、どうして勝たなかったのかというのをしっかり理解してもらった上で、じゃあどうすればいいのか、失敗したことを悔やむより、失敗したことから経験をして次に何を学ぶのかというところが、僕は大事だと思います」
「失敗しない人間なんていないです。だからこそ前をしっかり向けるように選手には話をしていきたいと思っています」
Q.キーマンとなる選手は
「全員がキーマンです」
「野球というのはチームで戦うものであって、個人で戦うものではないので、個人の能力も当然大事にはなりますけど、全体としてのバランスもすごく大事になってくると思っています」
「ホームランばかり打つチームが勝てるのかというわけではなく、ピッチャーだけが良ければ勝てるのかというわけでもなく、それはバランスで成り立っているというふうに僕は思っているので、隙のない野球というのも大事だと思っています」
「だから自分の掲げるものもすごく大事だと思うので、これからチームを見ていきながら、選手と接していきながら、1つずつ作っていければいいかなと思ってはいますけど、誰か1人が良ければ勝てるということは考えてないので、全員に能力の向上であったりとか、体力の向上であったりとか、技術の向上であったりとか、メンタルということに関しても強い思いを持ってやってもらうとか、そういうところがすべて総合的に、うまくいけば、僕は必ず強いチームになっていくんじゃないかなと思っています」

Q.ご自身も長く現役を続けましたが、今のベテランに伝えたいことは
「きょうこの場でベテランの人にはこうしてほしいということを言うのは、ちょっと失礼かなと思ってますので、ちゃんとお会いしてお話をして、しっかり伝えていきたいと思います」
「できれば直接選手に伝えたいと思うタイプの人間なので、誰かから伝わると言葉が変わってしまうというのは、ミスコミュニケーションになってしまったり、信頼を失うということにもなるので、ご了承いただければと思います」
Q.コーチ陣のイメージは
「そこも球団とお話をさせていただいて、しっかりコーチ人事は進めています。もちろん決まっている人もいますが、基本的に外部から全部連れてくるという考え方はないです」
「大事なのは、ここからどうするかということなので、しっかりとコミュニケーションを取りながら、当然ドラゴンズのOBの方であれば、選手のことをよく知っていたり、性格的なものも知っていたりという方もいらっしゃると思います」
「僕もずっと見ているわけではないので、ドラゴンズをよく見ている人のほうが、何が足りないのか、これから何を変えていけばいいのかということもわかっている方もいらっしゃると思いますので、コーチの人ともコミュニケーションをしっかり取っていきながらやっていければ、一番ベストじゃないかなと思っています」
Q.久しぶりの名古屋、やりたいことは
「ないです、選手の能力を伸ばし、そして試合をすることによって結果を残すということが一番大事なことだと思ってますので、そのために来たと」
「ですから、24時間365日、選手のことを考え、選手のことを思い、勝つために何をすればいいかをしっかり考えていきたいと思ってます」
Q. 「優勝請負人」という言葉も出ている、考えている目標は
「目標は1つです。それ以外には考えてはいません。結果はどうなるかということを考えることよりも、そのために何をするかということのほうが大事だと思っていますので、それに関して、しっかりコーチ陣とも、選手とも、そして球団のみなさんとも話をして、何がベストかという中で、しっかりとその最適化を図っていきながらやっていくことが大事だと思います」
「僕は独断専行するということは一切考えていませんので、しっかりコミュニケーションを取ると、たとえ自分がやりたいことがあっても球団からノーと言われれば、それはノーです」
「僕は中間管理職なので、上からもいろいろ要望があればそれを聞き、下からの要望があったらそれも聞き、そこのバランスを取るのが、プロ野球の監督だというふうに位置づけていますので、しっかりいいバランスの中で、みんながやりがいを持って野球をやっていく」
「現状がこの位置ということを考えれば、厳しいかもしれないです。でも、選手は必ず伸びると思うし、能力はあると思っています。だからいかにその能力を引き出すかというのが、監督やコーチ、球団の仕事だというふうに思ってますので、いいバランスの中で、しっかりとみんなとコミュニケーション取ってやっていければと考えています」
Q. 日本一のチーム、リーグ優勝するようなチームにある意識とは
「意識というのは、自分がどうなりたいかというところも、僕は大事にしている部分ではあるので、そこのモチベーションにつながるような意識をしっかり選手に持たせるということが大事だとは思います」
「意識って非常に幅が広すぎるので、何に対しての意識なのかということにもなるんですけど、勝つということの意識ということであれば、選手に『勝てよ勝てよ』ということが本当にプラスになるのかというのは、ちょっと違うかなと思います」
「大事なのは選手自身の役割であったりとか、選手自身が何を目指しているのか、ということが何よりも大事になってきて、その中で本当の意識が芽生えるのではないかなと。それは自分の役割の意識もあったりするでしょうし、チームというのがどうあるべきかという意識にもつながるかなと思います」
「いろんな意識があるとは思うので、それを同じ方向を向けるようにすることが一番大事なことではないかなと思うので、そこにみんなが向いてもらえるように、そして1人1人の役割が良しと思ってもらえるようにするのが、本当の意識づけになるんではないかなと思っています」
Q. コミュニケーションを大切にする理由は
「自分の失敗です」
「自分が監督やっているときの失敗というのが、誰かを挟んでコミュニケーションを取ったりとか、自分の言葉というのが、やはり相手に伝わったときに違う伝わり方をしてしまうということが、僕が監督をやっているときに失敗をしたことです」
「その失敗を二度と繰り返さないためには、しっかり自分の言葉を整理した上で使っていくということもすごく大事なことの1つでもありますし、誰かを挟んで間違えてしまうんだったら、ちゃんと直接話をして、もしくはそれに関係するようなコーチがいるんであれば、コーチとの三角関係の中でしっかり話をするとか」
「コーチと話をしたほうがいいか、監督と話をしたほうがいいのか、三者で話をしたほうがいいのか、みんなの意見も聞きながら、その中でしっかり選んでいくということが、ミスコミュニケーションにならない、大事なことだと僕は思っています」
「そのミスコミュニケーションというのが、やはりチームの中でいうと亀裂を生んでしまったりとか、選手とコーチ陣、監督含めてですけど、コミュニケーションが足りないことで伝わっていないということが、僕は一番いけないことだというふうに思っているので、何でも話をすればいいということではないんですけど、でも話をしないとわかり合えないこともたくさんあるということは、失敗から学ばせていただきました」
「ですので、その失敗を繰り返さないためにも、自分自身もしっかりと1人1人と向き合っていきたいなと今思っています」
Q.ホークス時代、コミュニケーションを通じて感じたチームの変化は
「僕が監督を7年間やっていて一番うれしかった言葉は『監督も変わりましたね』と選手に言ってもらったことです。優勝で胴上げしてもらうことよりも、日本一になることよりも、その言葉のほうが僕は一番うれしかったので、時間はかかりました」
「ダメだった僕に、いろいろ教えてくれたのも選手です。だから僕自身は決して監督を偉いと思っていませんし、選手のために何ができるかというのが本来の監督の仕事ではないかなと思っています」
Q.背番号ホークス時代と同じ「81」 経緯は
「81でいいですかって、いいですよという感じだったので、経緯というのはないんですけど、81しか付けたことがないので、違う番号に違和感を持っていたというところはあります。別に、そこで成績が出たから81にしたいって思ってはいません」
「自分のラッキーナンバーというのもあったりするので、そういうところからも自分が81がいいんじゃないかなというふうに思って、お伝えさせていただきました」
Q.優勝するチームの共通点とは
「共通点は、まず1つは当たり前を当たり前にできるかどうかです。基本を大切にするということだったり、1つ1つのプレーに対して全力で取り組むということです」
「当たり前と言われていることを当たり前にできるかどうかというところも、大事だというふうには思いますが、コミュニケーションであったりとか、その言い方に関しては、言い方が悪いと強く映ってしまったりとか、強く聞こえてしまったり、違う意味で取られてしまうというところもありますので、みなさん書くときは、慎重に書いていただければと思ってます」
Q. 春のキャンプに対する考えは
「春のキャンプが大事なんじゃないです。大事じゃないときは一時もないです」
「みなさんもひょっとしたらシーズンが終わったらシーズンオフという解釈の仕方をされている方もいらっしゃるかもしれない。これだけ長いペナントレースを過ごしたんだから休みを与えて、来年のためにリフレッシュしてって思われるかもしれませんが、大事なのは、秋だというふうに捉えています」
「厳しいと捉えるかもしれないですけど、大事なのは選手に1年でもプレーをさせるために自分たちが何ができるかです。僕はそれ以上のことを選手に望んでるわけではないです」
「チームとしてやらなきゃいけないことは当然あると思いますけど、なぜ私が1人1人と向き合いたいかというと、みんな能力もあるし、みんな1軍でやれるだけの練習を積めば、自分の今ある能力よりも高くすることが僕はできると思ってます」
「ただ、僕らが強制してはその能力は伸びないと思ってますので、どうコミュニケーションを取り、未来を見せ、そして彼らが、やればできるんだという思いになってもらうかが何よりも大事なことだと思ってますので、そうできるように、そして僕らが知らないことは自分たちで学ぶということです」
「すべて僕らが知っているわけでもないですし、選手のほうが知っているという場合もあります。であれば知らないことは自分たちが学び、そしてそれを一緒にコミュニケーションを取って、よりいいものにしていこうねということは、非常にチームにとっては大切なことではないかと思ってますので、それが1日でも早くかなうように、そして望んだ選手になれるように、一緒に協力していけたらベストだなと思ってます」
Q.子どもの頃に憧れていた選手は?
「私は子どもの頃野球が嫌いでした。だから憧れた選手いないんですよ、すいません」
「プロに入って自分に何が足りないかというときに参考にしたのが、僕よりも先輩ですけど、江夏さんであったり、東尾さんであったり、そうやって実績を残される方は何が違うんだろうということを自分の中でいろいろ考えながら教えを乞うたこともあります」
「昔は教えてくれませんでした。見て学べと言われるのが関の山でした。先輩たちから年に1個、2個教えてもらったこともないんです。でも一緒にいたら何か教えてくれるんじゃないかと思って、夜の遊びも覚えました」
「すべてが野球のためというわけではないですけど、でも、プロフェッショナルというのはなんなのかというところだと思います」
「僕は西武ライオンズに入って、プロとは何かの前に立派な社会人になりなさいと教わりました。そこからプロの自覚というものを学ばなくてはいけないときに多くの先輩たちから教えを乞うて、今の自分がいると思っています」
「そういうところも踏まえると、僕という人間は子どもたちからすると見本にはならないかもしれないんですけど、でもそれでも野球を続けて、ここまで来れる人も中にはいるんだというふうに思っていただければ」
「これから夢を持ってプロ野球選手になろうという子どもたちもいるわけですから、僕は嫌いだったって言って『なんだ、嫌いでも野球選手になれるのか』じゃなくて、やはり大事なのは好きになることです」
「好きになって夢中になることです。それが僕は今の子どもたちには大事だというふうには思いますし、昔とは環境が違うので、巨人の星みたいな環境で育った方いないですよねこの中に。 星一徹と星飛雄馬の関係みたいなことで育った人、いないですよね。僕ぐらいでしょ」
「星飛雄馬はそれでも良かったですけど、なぜプロ野球選手になれたかといったら、僕は人との縁に恵まれたからです」
「僕を野球界に戻してくれたりとか、野球をやめてもまた野球界に戻してくれる、そういう人たちがいたから、僕は今ここにいるというふうに思うので、そういう意味では、これからもそうやって、今度ドラゴンズの選手たちと話をするときに、これは縁だと思って、しっかり愛情を込めてね」
「厳しいこともあります。でもしっかり自分の愛情は選手に伝わるようにしっかりやっていけたらなと思っています」
Q.ドラゴンズファンのみなさんへメッセージを
「熱いドラゴンズファンのみなさんに、1つでも多くの勝利をつかみ取れるように、そしてみなさんに少しでも喜んでもらえるように、『工藤が監督になって良かった』と思ってもらえるように、日々精進して頑張っていきたいと思いますので、私含め選手たちも含め、球団も含め、みなさんで支えていっていただければすごくうれしく思いますので、どうぞよろしくお願いします」


