いま、新たな市場として注目されているのが、「代替食品」。半導体関連事業を主力とする岐阜県のイビデングループが新たに開発したのは、植物由来の「代替エビ」です。異分野に挑む企業の狙いを取材しました。
【食のイノベーション】半導体大手の技術を結集!イビデン物産が挑む「植物由来の代替エビ」

名古屋城を望む市内の高級ホテル。朝食メニューで提供されているのが、こちら!マフィンの上に乗っているのは、黄金色に揚がった香ばしいフライ。中の具には「エビ」が使われているんですが…

記者:
「ぷりぷりとしたエビの食感がしっかりあって、代替エビだと言われないと、これは気づかないかもしれないですね」

実はこのエビ、本物のエビではありません。エンドウ豆など植物由来の原料から作られた代替エビです。

開発したのは、半導体を支える電子部品メーカー、イビデン。1912年、岐阜県で電力会社として創業し、電子部品やセラミック、環境事業などへと事業を拡大してきました。

今では半導体パッケージ基板で世界トップクラスのシェアを持つ企業です。時代の変化に合わせて新たな事業に挑戦する企業文化が、今回の代替エビ開発にもつながっています。

そのグループ会社で、カップ麺向けの具材や代替肉などを製造しているイビデン物産。一体なぜ代替エビを作ることになったのでしょうか?

イビデン物産 堀畑健治社長:
「甲殻類アレルギーなどで食に制限がある方にも、安全でおいしい食の選択肢を提供したいと考え、開発を進めています」

国内の代替食品市場は現在およそ1270億円。2030年には1560億円以上の規模に拡大すると予測されています。健康志向の高まりやヴィーガン需要の拡大を背景に、イビデン物産が目をつけたのは水産物の代替でした。

イビデン物産 堀畑社長:
「天然の水産物の漁獲量も減っていますし、これだけの気候変動の影響で漁獲量の変動が激しい現状があります。そうした中で商品を安定供給することに、ビジネスのチャンスがあると考えています」
【モノづくりの強み】セラミック成形と食品加工を融合!こんにゃく粉と豆由来の成分でリアルな食感

安定した供給を可能にする代替エビ。その製造現場を見せてもらいました。原料となるのは、こんにゃく粉やエンドウ豆由来のたんぱく質などをブレンドした粉末です。粉を混ぜていってゲル状という原料になるそうです。

その後、生地を機械で押し出し、エビの形に整えます。ここにイビデングループがセラミック製造などで培ってきた成形技術が活かされています。

イビデン物産 開発部 鈴木美乃里さん:
「蒸し終わったものが出てきたら、フリーザーの中に入れて冷凍しています」
食品加工のノウハウと、グループが培ってきた製造技術。その組み合わせが、代替エビの商品化につながりました。

開発の中心となっていたのは、20代の若手社員たちです。年に2回、彼らが所属する開発部と営業部は、新商品の開発に向けた企画会議も行っているそうです。

イビデン物産 開発部 鈴木さん:
「新市場に向けた商品を自ら企画・開発しており、若手でもアイデアを形にする機会が多く与えられていると感じます」
【若手が活躍】新市場へアイデアを形に!代替タコなど次なる柱の育成へ

イビデン物産では、代替エビで培った技術を生かし、代替タコの開発も進めています。

日本経済新聞社 岐阜支局 長縄雄輝支局長:
「代替食という部分に関してだけ言うと、社会的な意義みたいなところをとても大事にされている会社。チャレンジスピリットの強い社風があると思います。これから、半導体部品が非常に好調なうちに次の新しい柱を育てていく必要があるとも感じています」


