日本一の家具産地として知られる福岡県大川市。家具産業が縮小する中、売り上げを
大きく伸ばしている家具メーカーがあります。その生存戦略とは。
【ネット通販で急成長】創業1964年の老舗・タンスのゲン!売上10年で5倍の秘訣は「コンパクト梱包」

家具の生産日本一を誇る福岡県大川市。室町時代、筑後川の上流から運ばれてくる木材を使い、河口付近の大川エリアでは家具や船を作る木工業が盛んになりました。

1964年創業のタンスのゲン。婚礼家具メーカー・九州工芸としてスタート。

売上高は直近の10年間で約5倍へと急成長しました。急成長の要因は2002年に始めたネット通販です。

長さ1メートルの箱から出して広げると、長さおよそ2メートル、幅1メートルのベッドに。1台1万5999円。発売から2年足らずで7400台を売り上げたヒット商品です。

圧縮して梱包されたマットレス。ビニールから出すと本来の形に膨らみます。

単身世帯から特に支持を集めているのが、組み立て式のハンガーラックです。コンパクトな梱包ですが完成したのは高さ160センチ以上の大型ラック。

タンスのゲン 橋爪裕和社長:
「当社が扱う家具やインテリア商品はサイズが大きいため、どうしても配送コストが高くなりがちです。そのためパッケージのサイズなどを商品企画の段階から緻密に計算して商品化しています」
【100cmの壁】数センチの工夫で配送費が大幅減!安全性とコスト削減を両立するモノづくり

消費者からすると送料は無料ですが、負担する企業にとっては利益を確保するためにも配送コストの削減が重要です。

子供用の椅子の梱包サイズ。梱包箱の3辺合計が107cmある商品を、100cm以内に抑えられないか社内で協議が重ねられています。

社員さん:
「この部分はそれほど強度が求められないため、パーツの余白を数センチ削って調整しましょう」

ダンボールの3辺合計が100cm以内かそれ以上かで、1箱あたりの配送コストが数百円変動するため、開発現場ではパーツの数ミリ単位の削り込みが行われます。

ただし、安全性を犠牲にすることはできません。担当者は「子どもの足が当たっても痛くならないようクッション性を確保しているため、この厚みは譲れない」と話し、安全性とサイズ削減のギリギリのバランスを追求しています。

配送コストを削減して価格を抑えながら、安全性や使いやすさも確保する。そのバランスが商品の価値につながっています。

日本経済新聞社 西部支社 鈴木見優記者:
「タンスのゲンは配送コストを削減するだけでなく、口コミからヒット商品の共通点などを分析しています。消費者の課題解決につながるような機能をつけて、独自性の高い商品を生み出している点が強みです」
【EC特化の工夫】専用スタジオで毎日撮影!2030年に売上高1,000億円へ海外展開も

ネット販売では商品の見せ方も重要です。社内には専用の撮影スタジオを完備。およそ3000アイテムを扱うタンスのゲン。新商品の撮影はほぼ毎日です。

白の壁を裏返すとあっという間にブラウンの壁に。背景を短時間で切り替え、同じ商品をさまざまな部屋の雰囲気で撮影。購入後のイメージを掴みやすくしています。

家具メーカーとして培ったモノづくりにネット販売のノウハウを積み重ね成長を続けるタンスのゲン。次に見据えるのは海外です。

タンスのゲン 橋爪社長:
「2030年に売上高1,000億円、2060年に3,000億円という目標を掲げています。国内のネット通販に加え、今後は海外展開を一層加速させることで長期ビジョンの達成を目指します」


