
海に根を張る青々とした植物の正体は、アマモ。魚や小さな生き物の住処となる“海のゆりかご”と呼ばれます。
子ども:「地球温暖化の原因のひとつである二酸化炭素を吸収、固定するものがアマモなので」
アマモを守るのは佐久島の子どもたち。
しかし、ある異変がー。
漁師:「生えているところは生えているけど、(アマモは)最近だいぶ減ってきたので」
地球温暖化の対策と豊かな海の再生。2つの課題に向き合う子ども達の挑戦を追いました。
大アサリなどの魚介類やアート作品が人気の「佐久島」

愛知県西尾市の離島・佐久島。
特産品の大アサリなどの魚介類や、アート作品が観光客に人気の島です。
この島唯一、児童生徒20人の学校に通う、中学3年生の髙橋伊吹くん。
髙橋伊吹くん:「こうアマモがあって、ここの葉っぱの部分にこんな感じで種がつく」
14歳の“アマモ博士”が行う活動とは?

子ども達からは、“アマモ博士”として頼りにされています。
この日、学校の前にある海から海水をくむ伊吹くん。
何に使うのかというと…。
髙橋伊吹くん:
「きょうは海水を足すのと中の掃除です。一部は(海に)移植するつもりです」
アマモを“海に植える”ためのお世話です。

髙橋伊吹くん:
「こっちが『アマモ』でこっちが『コアマモ』です」
スタッフ:
「先生より伊吹くんの方がアマモに詳しい?」
教諭:
「断然!いつも教えてもらっています」
なぜ「アマモ」を育て、海に植えることが必要なのか

佐久島で古くから続く、素潜り漁。砂の中からは、立派な大アサリ。
午前中だけで網いっぱいの大アサリがとれていました。
漁師・山中良則さん:
「だいぶ肉厚で味が濃くて。この時期は旬なので焼くとおいしいです」
しかし、その量は年々、減っているといいます。

漁師・山中良則さん:
「思っていたよりこんなに魚も貝もいないんだな、と」
漁師歴30年以上・鈴木和男さん
「(約30年前と比べて)魚に関しては1/10なんじゃない?1℃(海水温が)上がるだけで海の生態系は全く変わっちゃうもんで。温度を下げるにも氷入れても無理だし自然には勝てんけど」
地球温暖化で海水温が上昇し、アマモが減少。
アマモを再生させることが、温暖化対策の重要な“カギ”となるんです。
温暖化対策の重要な“カギ”となる「ブルーカーボン」

生活などで出る二酸化炭素は海水にも溶け込み、アマモなどの植物が光合成で二酸化炭素を吸収。
炭素を海底にためてくれるのです。
これが「ブルーカーボン」と呼ばれ、地球温暖化に与える影響を少なくできると、世界的に注目されています。
豊かな海を取り戻すため「海の再生」に挑戦!
豊かな海を取り戻したいと、佐久島では、25年前にアマモを育てて海に植える取り組みを開始。その思いは、島の海が大好きな子ども達に受け継がれています。
この日は、伊吹くんたちが待ちに待ったアマモを海に植える日。

髙橋伊吹くん:
「このアマモは水槽で育てたものです。アマモがあると生き物が集まってくるので、魚がどんどん育つので、漁師の方にもいいことになると思います」
アマモは海底に固定しやすいよう麻のポットにいれ、植えていきます。


アマモの茂みは別名「海のゆりかご」。
小さな魚や生き物が集まり、豊かな海になることを祈って、植えていきます。活動には、佐久島で漁師をしている伊吹くんのお兄ちゃんも。
髙橋奏翔さん:
「(活動を通して子ども達に)少しでも海に興味を持ってもらえると嬉しいです」

そして、海辺で行われていたのは「劇」。
「アマモ」の特徴を劇を通して、上級生から下級生へ引き継いでいきます。
子ども:「アマモは水中の二酸化炭素を酸素にかえることができます、そんなにすごいアマモを増やしましょう!」
子ども達のリーダーだった、伊吹くん。
2027年、高校進学に伴い初めて、島を出ます。
その、思いとは。

髙橋伊吹くん:
「小学生たちは、ブルーカーボンとか知らないでやっていると思うんですけど、伝えて、このアマモボランティアをこれからもずっと続けていってほしい」
「(将来も)できれば佐久島にいて、こういう海を守る活動にも関わっていきたいなと思います」
未来の佐久島をつくる、子ども達。
その歩みは、これからも続いていきます。


