名古屋証券取引所とテレビ愛知が共同で運営するYouTubeチャンネル「あしたのマネー」に、経済アナリストで株式会社マネネCEOの森永康平さんが出演。日本の人手不足問題と、今後注目される技術「フィジカルAI(人工知能)」について解説しました。
日本の深刻な人手不足と3つの対策

現在、日本では働ける年齢である15歳以上64歳以下の「労働人口」が減少しており、人手不足が深刻になっています。コンビニや飲食のチェーン店では、店員が全員外国人というケースも増えており、日本人だけでは社会が回らなくなってきているのが現状です。
森永さんは、この人口減少時代への対策として3つの方法を挙げています。
1つ目は「少子化対策」ですが、子どもを作るかどうかはそれぞれの夫婦が決めることであるため、政策で強制することは難しく、解決への難易度は非常に高いとしています。
2つ目は「移民政策」ですが、先に移民を多く受け入れた国ではトラブルが起きているケースもあり、また日本人の心の準備もまだ十分に整っていないため、「最後の手段」であると話しました。
そこで3つ目の対策として注目されるのが「AIの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
「画面の中」から「現実世界」で動くロボットへ

現在のAIは、スマートフォンやパソコンを通じて質問をすると言葉で回答が返ってくるものが主流であり、まだ本当の意味での「労働力」にはなっていません。専門知識を持つアナリストやエコノミストの仕事は、AIが発達すると消える可能性があると言われていますが、こうした専門職の人数は日本全体で見ればそれほど多くありません。
本当に人が足りなくて困っているのは、小売業、介護、建設など、「実際に人が動かなければ成り立たない業界」です。
そこで森永さんが注目しているのが「フィジカルAI」です。フィジカルAIとは、現実に動くロボットにAIを搭載したもののことです。 近年、ロボットの技術は大きく進化しており、関節が柔軟に動いたり、走ったり跳んだりできるようになっています。ここにAIが搭載されれば、大まかな指示を出すだけで、ロボット自身がその場の状況に合わせて自動的に判断して動くことができるようになります。
「国の政策」としての投資のチャンス

ロボットが人の代わりに現場で働けるようになれば、日本の人口減少や人手不足を解決する新たな手段になります。そのため、国が積極的に予算を出して支援する「国策」になる可能性があります。
株式市場には「国策に売りなし」という格言があります。例えば、政府が予算を増やすと決めた防衛関連の会社の株価は、ここ2〜3年で大きく上がっています。これと同じように、国策になり得るフィジカルAIに関連する業界は、今後の有力な投資先になるといいます。
また、SF映画のように「ロボットが感情を持って人間に反撃してくるのではないか」という懸念に対し、森永さんは「アメリカではChatGPTが人格を持ち始めたというニュースもあり、可能性はゼロではない」と話します。実際に海外のAIエンジニアと話した際にも、ロボットを止めるために「塩水をバケツに入れて玄関に置いておくべきだ」という防衛策に対し、別のロボットエンジニアから「防水加工がされているから効かない」と真面目に返されるなど、開発の現場では真剣な議論が行われているそうです。
中国でも、ロボットが人間のように自然な動きでダンスをするなど技術が進歩しており、今後は戦争の地上軍にもフィジカルAIが導入されるなど、世界中で集中投資が行われる未来が予想されています。
プロが実践する「連想ゲーム」と「リアル」の価値

森永氏は、多くの人が「そんな未来は来ないだろう」と半信半疑でいる今こそが、投資のチャンスであると語ります。30〜40年前、固定電話しかなかった時代に「手のひらの中に映画館があって、店に行かずに買い物ができるようになる」と言われても誰も信じませんでしたが、今では現実になっています。当時、AppleやMicrosoftの株を買っていればどうなっていたかを考えることが大切です。
投資のヒントを見つける方法として、森永氏は街を歩きながら変化に気づく「連想ゲーム」を勧めています。例えば、コンビニで日本人の店員がいないことに気づき、そこから「人がいなくなったら社会はどうなるのか」「介護や医療はデジタル化だけでは限界がある(※現在は筋力を助けるロボットスーツなどもあるが、人がいることが前提のため)」「ならばロボットで代わりをするしかない」と、次々に連想してつなげていく方法です。
最後に森永氏は、世の中のトレンドは「振り子」のようになっており、オンライン化や電子化が進むほど、逆にアナログやリアルの価値が高まると説明しました。インターネット通販のアマゾンで本は買えますが、そのデメリットは「新たな本との出会いがない」ことです。本屋に行けば、買う気がなかった本でも表紙が気に入って買うような「意図しない出会い」があります。そのため、電子書籍が登場しても紙の本は無くなりませんでした。
アイドルの世界でも同様で、コンピューターが歌う「ボーカロイド」で十分だという意見がある一方で、実際に劇場や握手会に会いに行ける人間のアイドルの「人間臭さ」や「ファンと触れ合って話せる価値」は、AIには奪えないものであると、SKE48の松本慈子さんの意見に同意しました。


