かつて炭鉱で栄えた北海道の芦別市。人口減少が続いていますが、ここ数年、観光で訪れる人が増加しています。一役買っていたのは「若い世代」と「子連れファミリー」に特化した大型温泉宿の戦略でした。
道内客が9割!若い層が支持する理由

かつて炭鉱で栄えた北海道芦別市。駅前は閑散としていますが、ここは様子が違います。大型温泉宿の芦別温泉スターライトホテル。以前は市の第三セクターが経営し赤字続きでしたが、ある民間企業が引き継ぎ、2019年にリニューアルしました。その後、訪れる客は年々増えて黒字化を果たしました。どんな客が増えたのでしょうか。

宿泊客:
「2カ月に1回くらい当麻町から来ています」
このホテルは訪日外国人ではなく、国内客が9割。そのほとんどが北海道内の人です。特に30代以下の若い層が中心。高齢の客が多い地方の温泉宿の中では異例です。

もちろん最大の売りは、2種類の源泉を持つ大浴場と露天風呂。

日帰り温泉としても利用できます。さらに、おふろcafeでは、1万冊の漫画・雑誌が読み放題で、ソフトドリンクや酒類も無料です。

宿泊客:
「本当に落ち着く空間だなっていうのが第一印象です」
「くつろげる感じ」
また、併設する体育館で日中体を動かし、夜はこの街自慢の満天の星空を楽しむこともできます。
芦別温泉スターライトホテル 田中慎二総支配人:
「1日では楽しみきれない、いろいろなサービスを用意することを心がけています」
手ぶらでOK!子連れファミリーの潜在ニーズを徹底開拓

若い客層の中でも特に意識しているのが、子連れファミリーです。前述のリピーター家族も、0歳児と来ていました。宿泊客のひとりは「この子は3回目です」と話します。

この宿は、とことん子連れに配慮しています。おむつやおしりふきはもちろん、粉ミルク、赤ちゃん用歯ブラシ、子ども用の便座に、おむつ用ゴミ箱まで。さらに、お風呂はおむつの取れていない0歳児から利用可能。子ども用の低温風呂も用意しました。

芦別温泉スターライトホテル 田中慎二総支配人:
「子連れの親は手荷物をたくさん用意するのが大変なので、手ぶらでも楽しめるようにいろいろと用意している」

「泊まってもくつろげない」という子連れファミリーの困りごとを取り払い、潜在ニーズを掘り起こしたのは、運営会社・北海道ホテル&リゾートを率いる小林英樹会長です。
かつて、家業のホテルが不振で他社に買収されたとき、その買収元に入社して立て直しました。その後独立し、子連れなど若い世代を軸に、経営難のホテルを次々再生。6施設を運営しています。小林会長は「『小さい時にあの温泉に行って良かったね』というイメージが重要だと思っています」と語ります。
地元客特化で稼働率70%へ、今後の本州展開も視野に

日本経済新聞社 札幌支局 濱野琴里記者:
「地元客を集める手法は、高級感が求められるインバウンドと異なり、設備投資額が抑えられると考えられます。潜在的な地元客を掘り起こし、リピーターに育てる取り組みは、ほかの再生案件でもヒントになりそうです」

同ホテルの場合、再生前の稼働率は30%でしたが、今は70%程度を維持しています。グループ全体の売上高は、3年間で2倍に増えました。

北海道ホテル&リゾート 小林英樹会長:
「いいホテルの定義は、地元の人が集まり地元の人が紹介したくなる場所。第二のわが家や親戚の家みたいな、そういう施設を目指している」
この北海道ホテル&リゾートは今後、本州でも積極的に宿泊施設を展開する方針だということで、そこでも国内客を重視するという方針だそうです。


